鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

鍼灸抜萃に学ぶ その六

鬱証の処方 前編

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左:「鍼灸抜萃」右:「鍼灸則」

「鍼灸抜萃」は上・中之上・中之中・中之下・下の五冊、全三巻からなる鍼灸医学書である。その下には五十六の論治が紹介されている。概ね病因病機、古典の引用、症状、配穴の形式で書かれている。

「気の論治」では「素問」挙痛論から九気の病理と病症について引用されており、百病は気より生ずるとの説明がある。気の病変としてはまず気の鬱滞から始まることが多い。精神的な抑圧・ストレス・怒りや悩みなどにより、気の流れが悪くなり、気鬱を生じる。気鬱により循環が悪くなり血にも影響を及ぼし、血鬱を生じようになる。鬱証は心・肝・脾と関係が深い。

「鍼灸則」(1766)は菅沼周桂による鍼灸医学書である。古方派に傾倒して、経絡学説などを否定したとされる。配穴にはどのような変化が見られるだろうか?「鍼灸則」の凡例には使用する経穴は70穴、鉄製の毫鍼・三稜鍼を用いるとの記載がある。
「日本漢方典籍辞典」の解説によると、「実際の内容は病証の認識や選穴さの凡庸さが指摘される」と、その評価は決して高いものとはいえない。

欝症
それ人の気血冲和するは万病生ぜず。一ひ壹欝あれば諸病生ず。故に人の諸病多くは欝に生ず。
鍼 中脘 上脘
灸 脾兪 膏肓 三里
諸気
血は則ち気に随って行く、血を戴すものなり。これ気あれば、必ずこれ血あり。これ血あれば、必ずこれ気乗ず。二者行くときは則ち倶に行く。一息も間あるは則ち病む。
  • 気虚 労役傷気中気の不足鍼するべからず
    灸 脾兪 胃兪
  • 気実 邪気也
    鍼 上脘 梁門 下脘
  • 気滞 欝して伸びずなり
    鍼 中脘 陰都 梁門
  • 気寒 身に寒気を受くるなり
    灸 脾兪 肝兪

上図に各書の配穴をプロットした。比較して見ると、脾胃に関する経穴が多く似通った配穴になっている。上記欝症の説明も「丹渓心法」六鬱の引用であるので、どのあたりまで古方的と云えるかは未定である。
「鍼灸則」では三里と膏肓の関係についての次のように説明がされている。三里穴は濁気を下ろし、膏肓穴は下陥清陽の気を上らせる働きがある。清気が上れば濁気が下り、濁気が下りれば精気が上がると並びめぐるものである。まず、膏肓に灸をして、後に三里に灸をする。

(つづく)