鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

鍼灸抜萃に学ぶ その八

鬱証の処方 後編

気鬱はさまざまな臓気に影響を及ぼすので、本来であればそれぞれの状態において、配穴を加減をする必要がある。
湯液の理論と鍼灸が大きく異なる点は経絡と経穴(腧穴)を利用する所にある。丹渓は合生見証の考え方を提唱し、経絡理論を発展させた。合生見証とは自経だけでなく、表裏関係や交会穴(循行経路)などにより、他経への影響を考慮したものである。「鍼灸抜萃」に於いては、合生見証が反映されているのかどうか。推測しながら、鬱症の配穴をもう一度確認しておこう。

膏肓兪【膀胱】膏は脾より生まれ、肓は腎より生ず。
神道【督】神は心に通ず
肝兪【膀胱】背兪穴
不容【胃】
梁門【胃】

鬱証で特に関係のある臓気は、心・肝・脾(胃)であるので、上記配穴でなんとかカバーできていると言えなくもない。
情志の鬱、心(こころ)の抑うつは心に影響し、心は意識や精神を主る働きがあると考えられている。この時代は、精神活動をコントロールしているのは脳ではなく心にあるとされている。脳中枢説が唱えられるのは17世紀になってからである。配穴は体幹部だけで手足や頭部の経穴も選穴されていない。現在であれば、百会や四神聡などの頭部の経穴や天柱・風池・完骨あたりの経穴も候補に挙がるであろう。
イライラや怒りで疏泄作用が悪くなり、肝気に影響が及ぶと、胸やのどのつかえ(梅核気),気分の落ち込み、生理不順、瘀血を生じたりする。教科書的には、天突・太衝・三陰交などの選穴が考えられるであろう。さらに、脾気に影響が及ぶと湿、痰を生じ、脾の運化機能が悪くなり腹部膨満感や食欲不振、下痢などを生じるようになる。選穴は内関や豊隆、三里といったところであろうか。これらは相互に影響を及ぼし、時間が経過するとさらにいろいろな不定愁訴を呈することが多い。(ちょっと雑なまとめ方ですが…)

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上記は夢分流の腹部の図である。無分の末流ということであるので、この腹部の蔵府配当について認知していたと仮定しよう。梁門は胃土に相当し、不容は脾募あたりになるであろうか。たしかに、臨床的にもこのあたりの邪気は確認されることが多いので、腹部刺鍼(打鍼)は効果が期待できそうである。打鍼については後日書く予定である。