鍼を刺さずに、串を刺すの巻
昨日はゴールデンウィーク期間中であるためか、平日にもかかわらず多くの釣り人で船宿は賑わっていた。今シーズン、相模湾ではマルイカが釣れず、ヤリイカやムギイカがポツポツと上がっているようだ。ムギイカはスルメイカの小さいもので、その上はニセイカと呼ぶ。イカの中でもスルメイカは特に獰猛で、咬まれると涙が出そうになる。まあ、咬まれた経験のある人は少ないだろうけど…。
ムギイカは初夏によく釣れ、船上に所狭しと沖干しされた光景は、まさに風物詩といえる。梅雨前のこの時期は、日中の日差しも強く、夏が近いことを感じさせる。
イカは忙しい釣りものでもある。早く海底に仕掛けを落とした方が、イカが乗る可能性が高いと言われているため、合図とともに一斉に錘を海に投げ込むのである。時に、陸上競技のスタートのような緊張感がある。また、イカは逃げ足が速いので、一発勝負のことも多い。この日は船団もあまりできずに、拾い釣りであった。のんびりしていては、イカの姿を拝むことはできないのである。
刺身はもとより、軽く炙った沖干し、沖漬け、捌いたスルメのワタで作った塩辛など、帰宅後の楽しみも多い。新鮮な魚を食すことができるのは、釣り人冥利に尽きるというものだ。
(写真:スルメの沖干し)