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鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

王兵監督の最新作「三姉妹~雲南の子」はボディーブローのように記憶のひだに食い込んでくる

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5月25日(土)から渋谷のイメージフォーラムにて上映されている。

http://moviola.jp/sanshimai/

標高3200メートル、雲南地方の中国最貧困ともいわれている村で暮らす三姉妹を独特のカメラワークで記憶したドキュメンタリー映画である。被写体との距離やアングルの影響によるものか、かつて自分がその場にいて、遭遇したかような錯覚を経験する。家畜の喧噪やゴーゴーと吹く風の音、闇の中で微かに聞こえる息づかい、そこに作為的な音はなく、舞い上がる埃の匂いが漂ってくるような臨場感がある。

母は家を出て行方が知れず、父は町に出稼ぎに行った。10歳になる長女の英英(ying ying)が、次女の珍珍(zhen zhen)6歳と三女の粉粉(fen fen)4歳の面倒を見ながら過ごす生活の日々。映像はその情景を丁寧に紡ぎ出し、淡々と描いている。境遇を恨むわけでもなく、厳しい環境の中で懸命に生きる、そのいのちの逞しさに観客は心を動かされるであろう。

今やGDP世界第2位、悩める大国の見えない暗部に光を当てた作品であると言うこともできる。この貧困をどう考えるか。目撃者である我々は、この現況から目を背けることはできない。

ドラマチックなストーリー展開がなく、説明的でない分、観客の感情に委ねられるところが多い。取り巻く環境や未来に希望が持てない状況ではあるが、楽しそうに遊ぶ無邪気な子供の姿や笑顔はせめてもの救いである。また、感情をあまり表に出さず、口を真一文字に結び、時より遠くを見つめる英英の表情にはドキッとさせられる。

王兵ワン・ビン)の代表作ともいえる9時間にもわたる長編ドキュメンタリー「鉄西区」はyoukuなどの中国サイトでも見ることができる。この作品もなかなかよかですよ。しかし、昨年日本で公開された「無言歌」や「鳳鳴ー中国の記憶」は反右派闘争 や 文化大革命をテーマとしているため、ネット上の作品リストにさえ記載されていないという現実がある。