上海中医博物館を見学して上海書城へ、歩きながら考えた
遅めの夏休みを取り、上海経由昆明、麗江と巡ってきた。帰りのフライトの時間まで余裕があったので、上海市内から足をのばし、上海中医大学に併設されている上海中医博物館を訪ねた。
北門を潜ると、張仲景(写真上)と神農(写真下)が出迎えてくれる。館内は「请勿拍照」(撮影禁止)の表示があったので、素直に日本的対応。展示物についてはすでに多くの方が、写真付き(Why…?)でUPされているので、興味のある方は「上海中医博物館」で検索してほしい。
張仲景
神農
他の中医大学でも校内には、張仲景、神農、皇甫謐など歴史的な人物の彫像がある。一方、日本では学校の創設者の銅像が飾ってあることが多い。この差は何であろう。
おそらく興味がなければ、張仲景、華佗、神農、皇甫謐の名前さえ知らない鍼灸師も多いのではないだろうか。数年前、柳谷素霊を知らない鍼灸師がいたと仲間内で話題になったが、知らなければ鍼が打てないということでもないわけで、このあたりは悩ましい…。
書店を覗けば、陰陽五行論にもとづく養生書や黄帝内経の解説書、呼吸法や按摩法など多くの健康関連の書が並んでいる。 また、昨年上海書城を訪れた時と比べて、お灸関連の書籍が増えていた。ちょっとしたブームかもしれない。ここでのお灸はせ○ね○灸のようなスタイルではなく、隔物灸や棒灸などによる温灸である。これらの書籍が専門書の売り場にではなく、入り口近くの一般人向けのコーナーに平積みされているのである。
健康についての関心が人々の間で高いのは日本も同様であるが、このように伝統医学の思想、知恵が生活の中に自然と溶け込んでいるという点は、日本の状況とは大きく異なる所なのであろう。