鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

細絡(さいらく)の気になる季節|若い女性にも多い頚肩の循環障害は凝りや頭痛、肌荒れの原因にもなる。

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「おそるべき君等の乳房夏来(きた)る」

毎年、夏になると不思議と三鬼の句を想い出す。が、ここで言いたいことは「もしかしてだけど~」という妄想ではなく、その視線の先は「細絡(さいらく)」にある。職業病さながら、ついつい背中の細絡が気になってしまうのである。

おそらく馴染みのない言葉ではあろうが、この細絡とは「皮膚の極めて表層に現れる毛細血管腫」と定義されている。通常は肉眼で見えない皮膚の乳頭下層中の動静脈吻合枝が変化したもので、糸くずのような状態で現れる(Vascular Spider)。手元の資料には「ボーフラ」のような状態と書いてあったが、若い人は見たことないのではないだろうか。特に妊娠、肝硬変、胃十二指腸潰瘍時に見られるとされているが、高血圧、気管支喘息、心臓疾患にも観察されるとのレポートもある。また、まったく自覚症状のない健康な方にも現れる。

頚や背中の周囲をよく観察すると、線状・点状の暗赤色の細静脈が見られることがある。指で少し圧迫してみると、一瞬消えるがまたすぐ現れるようなものが新鮮な細絡である。細絡があるということは、その部位に瘀血(循環障害)があるということである。この瘀血(おけつ)という言葉も東洋医学独特の概念である。この瘀血がいろいろと悪さをするのである。「中医病因病機学」から引用しておこう。

瘀血とは鬱積して循環せず、汚れて不潔で、経脈を離れ体内に停留している血液であり、長患いが経脈に影響を及ぼしたときに現れる病変であると位置づけられる。p167

主な症状や体に現れる変化は疼痛・発熱・咳嗽・動悸・怔忡・健忘・精神疾患・肢体のしびれや痛みなどがあり…。P173

瘀血を生じやすい原因としては、まず、打撲やねん挫、むち打ちなどの外傷を上げることができる。また、精神的なストレス、不安感やイライラ、怒り、長時間同じ姿勢での事務作業(パソコン業務)、冷え(夏場の冷房)などなど。東洋医学的には気血の巡りの悪い状態ということができる。

「 肩こりは万病のもと」というのもあながち間違ってはいないかも。頚や肩の凝り(瘀血)は脳への血液循環を阻害する要因にもなるからである。肩こり治療は養生法の基本と言えるかもしれない。

鍼灸指圧自然堂

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小田急祖師ヶ谷大蔵駅下車徒歩2分。
頑固な凝り、痛みとしびれ、ストレス関連疾患、胃腸障害(胃弱、便秘、下痢、IBS、GERD…)
中医病因病機学

中医病因病機学