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鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

経筋についての雑感 (中)|なぜ、経筋篇では燔鍼(火針)を使用したのか。

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痛みや拘攣などの運動障害に対して経筋システムが有効であるといわれるが、経絡システムとどのように区別するのであろうか?

鍼灸治療では痛みに関して「不通則痛」「不栄則痛」という考え方がある。

経絡は全身をくまなく巡っており、この経絡上を気血が流れることで蔵府・筋肉・皮膚等の組織・器官を調整し、健康な状態を維持しているとされる。もし、この気血の流れが滞ると痛みやさまざまな症状を生じることになる。そこで、問題のある経絡上の腧穴(つぼ)に鍼灸を用いて操作することにより、この気血の滞りを改善、疏通するわけである(大雑把な説明ではあるが、)。

理論的には経絡が疏通されれば、筋肉や組織も調整され、症状も改善されるわけである。つまり、痛み(痺症)や拘攣に対する治療は経絡システムで説明がつくので、通常の腧穴を利用するのであれば、あえて経筋を持ち出す必要はないのではないか。

入江氏の「経別・経筋・奇経療法」に、焼針に関して興味深い記述があるのでここに紹介しておこう。

古代中国では、焼針は広く応用されていたようで、漢方の古典である、傷寒論にも記載してあるが、奇妙な事にその副作用ばかりあげてあり、…(中略)焼針による治療が余りにも手軽であったがために、広く大衆に利用されていたのであろうと思われる。

経筋療法も焼針の利用であるから乱用された筈であり、ひいてはその副作用のために大衆から見離され、その結果、現在ほとんど経筋療法も、他の焼針による方法も行われない理由であるかも知れない。

流注が似通っているので惑わされるが、経絡系統システムとして経絡と経筋を関連づけて考えるのではなく、異なる体系として捉えた方がスッキリするのではないだろうか。

また、もし経筋療法が経絡システムによる治療と比べて優れている点があるとするならば、燔鍼(火針)抜きには語れないであろう。この燔鍼についても幾つかの解釈がある。柴崎氏は「鍼灸医学体系」の中で次のように説明されている。

燔というコトバの原義から考えて見ても、これが焼けた熱い鍼を刺すものだとは思われない。寧ろ今日の灸頭鍼の如く一度刺入した鍼の鍼体を燔いて、熱するものと考えるのが妥当ではあるまいか。そして已に刺入してある鍼の頭(又は鍼体)の上で、何回も艾を燃やして、その効果が現れるまで、之を反覆することを意味することと思われる。

 霊枢「経筋篇」には、寒さにより背部の筋がひきつれると反り返り、腹部の筋がひきつれる屈曲して伸ばすことができなくなるとある。また、燔鍼の使用法について、寒によって経筋がひきつれた症状に用いるのであって、熱により弛緩、収縮しなくなったものには用いてはならないと書かれている。

このあたりが、ヒントになるか。。

(つづく)