鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

鉄斎流「按腹獨稽古」を読んで考えた(2/X)|雨水分流って。。

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先日思いがけないところで「雨水分流」の話題となって、ちょっと驚いた。。

「臨床実践鍼灸流儀書集成第8冊」オリエント出版社に<雨水分流>として編纂されているが、この内容は「按腹獨稽古」から抜粋し、写本したものでなないかと思われる。記載されている内容はほぼ同じで、手技の操作方法が全部で11術紹介されている。この辺の経緯についてはよくわからないが、じつにマニアックな話である。

江戸期の文献は変体仮名(江戸かな)やくずし字を解読しないと意味がわからないため、読むのに非常に時間がかかる。また、分からないくずし字があると気になってしようがない。以前、古文書講座に参加した時、講義をしていただいたある高名な先生も依頼を受けた手紙に書かれた一字を解読するのに一週間悩んだという話をされていた。それ故、私のような素人がすらすらと読めなくても当然と言えば当然なのであるが。。

和本の解読は老後の楽しみにしようと思っていたが、少し訳してみた(参考までに)。

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雨水分流(うすいぶんりう) 第一術

此術は両手とも指頭を少しひらき病人の胸よりだんだん左右へ摩(なで)ひらき、順降してきうび(鳩尾)に至る。扨両脇よりかゝへる気味に静(しづか)にしめる如斯(かくのごとく)反覆して摩る事凡六七へんするなり。
此術の効は始(はじめ)胸よりだんだん摩(なで)ひらくを砂気の結ぼれをさんじ又痰飲を解(とく)。其終に左右の脇よりしめるを収気するといひて始(はじめ)ひらきたる気を取収める術なり。
手法雨水の山稜より両辺へ分れ流るゝ気味あるをもつて雨水分流の術といへり。

 

海水湧沸(かいすいゆふつ) 第二術

此術は先病人の右の章門あたりより、脇下を右の手にて如斯環回して摩登り乳の上あたりに至つて是も又収気の法を施す。
其法左の手にて病人の右の乳の辺をじつと受て右の手にて病人の右の脇下より背に掛て摩(なで)あけかかへる気味に静にしめるなり。又左の脇は右の手にて病人の左の胸下あたりをじつと受て左の手の内を向ふへ当て章門あたりより脇腹をだんだん転回して如斯摩登る収気の法有。
右の手にて病人の右の乳辺をじつと受左の手掌にて向ふへ押てしめる此術も左右同く反覆する事六七へん其効は脇孿を和解し癇気を順散す手法満水の湧沸する気味あるをもつて術の名とするなり。

は秘伝の図なり

 

山畔除降(さんはんじよがう) 第三術

此術は先つ左の手にて病人の右章門所をじつと引よせ抱(かかへ)持て右手の指先にて病人のきうびを少し除き胸肋にしたがひてかのかかへ持たる左の手まで静に押降(くだる)事三十へん。
左の方は左の脇を左手にて受、右の無名指とたかたか指と二指にて胸肋にそひ静にかき降る事又三十へん。もつとも胸肋にすり付摩れば痛てあしきなり。脇肋を四分ばかり除きなでくだるをよしとす。
此術効胸痞留飲を散解し鬱気をひらく険阻なる山路をしづかに降る気味ある手法なるを以て山畔除降の術といふ。

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「家法按腹十三術図解」第一術の分排や第二術の分肋にも似た手技である。胸部を調摩することは呼吸を楽にする働きもあり、按腹の効果をあ高めるためにも大切な操作なのである。