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鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

こむら返りに条山の刺鍼が奏功した一例

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こむら返りとは主にふくらはぎ(腓腹筋部)が痛みを伴い、不随意的に筋痙攣を起す症状である。また、腓腹筋部ばかりでなく前脛骨筋部や足底、拇趾、ハムストリングスに起こることもある。医学的用語では有痛性筋痙攣と呼ぶが、「足が攣った」とか「引き攣れる」と表現されることが多い。その多くは一過性で治療の必要がないものであるが、頻繁に起こると睡眠障害や日常活動に支障をきたすこととなる。

東洋医学用語では転筋(てんきん)や抽筋と呼ばれており、多くは腓腹筋の攣急のことをさす。「霊枢」陰陽二十五人編には「血気皆少なければ、よく転筋す。」とある。また、「病名彙解」には、「俗に云こむらがへりなり。病源に云轉とは其轉動するを謂なり。病源式に云、轉筋は経に所謂反戻なり。」と記載されている。

その機序についてはハッキリしていないようであるが、運動神経終末の興奮が高まることがその原因ともいわれている。睡眠中の朝方や冷たい水の中(プールや海)への入水時、過度の運動時などにも起こりやすいため、血行不良や筋疲労がそのベースにあるとも考えることができる。

妊娠時、腰部の術後、人工透析、肝疾患、糖尿病、下肢静脈瘤などの基礎疾患があると起こりやすいので、継続して起こる場合は注意が必要である。また、マラソンやサッカーなどの激しいスポーツで起こる場合は、オーバーユースと共に発汗による電解質マグネシウムやカルシウムなど)代謝のバランスが崩れることと考えられている。

こむら返りの対策としては、普段からのマッサージやストレッチも有効である。頻繁にこむら返りが起こるという肝硬変や人工透析、腎疾患の方への定期的なマッサージで、その発生頻度を軽減することはしばしば経験することである。

医療機関を受診されると、たいがい「68」番(芍薬甘草湯)を処方されることが多いようだ。効果があるという方と「・・・?」の方とあるが、副作用もあるので漫然と服用することも考えものである。

さて、鍼灸の治療はどうであろうか。。

鍼灸大成には次の記載がある。「脚轉筋多年不愈、諸葯不効者:灸承山(二七壯)」承山の位置はちょうど腓腹筋の筋腹の間にあり、深層に脛骨神経が通っている。灸頭鍼などもよいかもしれない。

先日、なかなか改善しなかった下腿のこむら返りに対して、条山の刺鍼が奏功したので、下腿深後方区部の筋群の問題では?と仮説を立ててみた。ここで、下腿深後方区部の筋群とは、後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋のことをさす。また、条山とは条口から承山にかけての透刺である。本来は五十肩に対する特効穴であり、陽明経と太陽経へのアプローチが同時に可能である。

下図の赤色は深腓骨神経、桃色は浅腓骨神経、そして青色は脛骨神経支配を意味している。条口→前脛骨筋→後脛骨筋→長母趾屈筋→ヒラメ筋→腓腹筋→承山

 

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こむら返りに関連して、面白いレポートがある。高山瑩氏、伊藤博志氏「腰痛などを伴っているこむら返りに難渋している症例への治療効果ー深腓骨神経ブロックによるー」日本腰痛会誌、8(1):126-130,2002

筆者のこれまでの経験では,末梢部すなわち第1 ・2中足骨の間の方が効果が得られるようである.神経ブロックには,疼痛伝導路の遮断,痛みがつくりだす悪循環の遮断,血行改善による効果がある.また,田尻らは病変部位より末梢での神経ブロックで痛みが軽減または消失することは末梢を伝導するインパルスが根性坐骨神経痛の発生に重要な問題を含んでいると述べている.これらのことが深腓骨神経ブロックが下腿や足趾のこむら返りに著明な効果を示したことに関与しているものと考えられる.

ここでの、第1 ・2中足骨の間は行間や太衝の経穴に近い位置となる。

さて、先の下腿深後方区部の筋群(後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋)であるが、筋膜リリースを行うようになって、このあたりの問題に最近注目するようになった。

何故、そのような状態になるのか、ここに負荷がかかるということは、どのようなことか。そして、ならないようにすればどうすればよいのか。姿勢や動作、アライメントなどの視点から考える必要がある。

内容が整理できたら、どこかでUPします。