鍼灸鷄肋ブログ

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真夏の夜の夢|夢の意味についてつらつらと考えた。。

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「暑いですね~。」が挨拶代わりになっているようなこの時節、夜も当然のごとく暑くて寝苦しい。クーラーを消して寝ると、必ず夜中に暑くて目が覚め、入れっぱなしにすると朝方寒くて目が覚めるといった具合で、なんとも悩ましい。

そのような状況によるためか、このところよく夢を見るのである。その内容が断片的なものやとりとめのないものであると、起きてから数分すると忘れてしまうことが多いのであるが、中には何故か心のどこかに引っかかり気になってしまうものがある。

古来、夢は文学・音楽・絵画・舞踊など多くの作品のモチーフになっている。ある人々にとっては未来を予言するものであり、政治を左右したり、また、疾病の治療に利用されたりもする。

人によっては、荒唐無稽なオカルト的なもの、レム睡眠時の記憶処理としてのノイズとして一蹴してしまうこともあろうが、なかなかああだこうだと解釈する作業は興味深いものがあり、また、内省する行為でもある。それは深層心理学の一技法としてして活用されている所以でもあろう。

先日見た夢は次のような内容である。

男性と思しき人物の上半身が現れ、蜂のような羽虫が左耳に吸い込まれるように入っていくというものである。男性はシルエットだけで、その表情を窺い知ることはできない。恰も影絵にバックライトがあたっているような情景で、背景はやや青みがかっているようであった。その光景を少し離れた所から、客観的に冷静に観察している自分がいる。虫が耳に入った時も特に何か感情が去来することもなく、「あー、虫が入ってしまう。。」というところで、はっとして目が覚めたのである。起きてすぐに耳に指を入れてみたが、何ら変化はなく、何ともモヤモヤした感覚だけが残ったのである。

ネット上で、夢を検索すると1億超えでヒットする。夢判断(占い的)では、夢の中での象徴的な物やアイテムを手掛かりに解釈されている。上記の夢では「耳」と「虫」がキーワードとなる。

耳は感覚器官としての働きである聞くことを基本にして、情報やニュース、噂、忠告、アドバイス、評価、評判などを暗示するとされる。また、虫は小さければ取るに足らないもの、煩わしさ、トラブル、不道徳、騒音、気がかりなことなどを意味するようである。

からだから虫がでていく夢は体内から悪いものが出ていくと解釈され、病気が快方に向かう前兆とされる。逆に体の中に虫が入るようであると、ストレスや疲労により、体調に注意した方がよいとする予兆であったりするようである。耳に虫が入ることで塞いでしまうことから、人の意見を聴きたくないとか、気分が塞いでいると解釈することもできそうだ。

しかし、このような解釈であると、耳や虫に対する特徴的な意味をつなぎ合わせて、辻褄の合うように判断したに過ぎないといえなくもない。そう言われればそうかもしれないといった、バーナム効果と捉えることも可能であろう。ここでの問題はパーソナルな情報が入っていない点にある。

つまり、耳や虫に対するイメージには個人差、個人史があるということである。また、習俗や宗教、伝統的な儀礼や祭事など、さらにユングのいうところの元型も考慮されるべきであろう。

耳を例にすれば、疾患やコンプレックス、ピアスをあけていたり、頻繁に綿棒を使用していたり、イヤホンをすることが習慣になっていたり、常に騒音の環境下にあったりなど、幼児期の体験や経験(家庭不和により、喧嘩が絶えず恐怖と不安で耳を塞いでいたりなど)といろいろなことが想像される。幼少期の頃、耳なし芳一の話を聴いて、眠ることが怖くなって、夜もトイレに行かれなくなったことなどもあるかもしれない。

深層心理学の分野ではフロイトユングが有名である。フロイト流に解釈すれば、上記の夢も性的な願望充足として説明できるのかもしれない。一方、ユングは夢を幾つかのタイプに分類している。①補償夢、②展望夢と警告夢、③反復夢、④予知夢、⑤無意識の心理過程描写(元型夢)

これを警告夢とすれば、おいしい話や噂には注意するということであろうし、軽はずみな言動には気をつけなければいけないと理解することができるかもしれない。また、予知夢とすれば、アンテナを張って、人の話や情報に耳を傾けることを暗示していると解釈することも可能である。

ある人は夢の解釈は謎ときであるという。また、現れている要素は全てに意味があると。ここで、男性と思しき人物が自分を投影したものかどうかはわからないのであって、客観的に眺めているということを考慮すれば、ある特定の人物かグループ、組織によからぬ情報が流れることを為す術もなく、傍観していると解釈することも可能である。日本人はサイレントマジョリティーであるので、なかなか意見を言わずに、正しくなくても自己主張の強い意見が通ったりすることもよくあることである。また、巷間に溢れている情報が正しいかどうかも疑わしいわけで、注意を喚起していると考えることもできる。

最近流行りのアドラーによれば、悩みの多くは人間関係にあるとしているので、対人関係のトラブルに巻き込まれないように注意するということも言えそうである。いずれにしても、その検証は不可能であるので仮説は仮説なのではあるが。

こんなどうでもいいようなことを、アツイアツイと言いながら、つらつらと考えていたわけである。

夢判断に関してはフロイトユングの印象が強かったが、最近の夢研究では現象学的手法が注目されているらしい。ここに来てフッサールか。。学生時代、このあたりはよく理解できず、挫折しているので、心情的には胡蝶の夢といきたいものである。

 

【参考文献】

人はなぜ夢を見るのか―夢科学四千年の問いと答え (DOJIN選書33)

人はなぜ夢を見るのか―夢科学四千年の問いと答え (DOJIN選書33)