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鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

腹式呼吸はなぜ体によいと言われるのか

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「おぎゃー」と産声を上げてから、息を引き取るまで、人は絶えず呼吸を続けることになる。まさに、「息(いき)」は「生(いき)」ということである。

体裁を良くしようとすれば、白隠禅師の軟酥の法や荘子の「真人の息は踵を以てし、衆人の息は喉を以てす」などの言葉を引いて話を展開するのであろうが、これらのことは、呼吸法について書かれた本やブログなどにもすでに多く言及されているので、別の角度から考えてみたい。

大切な試験前や人前でスピーチをするときなどに緊張するとドキドキと鼓動が速くなったり、手に汗をかいたりすることは誰しも経験することであろう。そのような時、意識的、または無意識に深呼吸(腹式呼吸)をしているのではないだろうか。

この行動は自然と自律神経のバランスを調整していると言うことができる。細かいことを言うと自律神経の働きも複雑ではあるが、ざっくりとしたイメージでは次のように云うことができるであろう。

呼吸器系、循環器系、消化器系などの働きは交感神経と副交感神経により、やじろべえのように普段はバランスが保たれている。交感神経は活動的、副交感神経は休息モードなどといわれるのも、それぞれが持つ拮抗した働きによる。しかし、長期にわたるストレスや度重なる精神的緊張、肉体的疲労により交感神経が興奮した状態が続くと、自律神経の働きが乱れ、さまざまな症状が現れることとなる。

例えば、頭痛や肩こり、不眠、動悸、眩暈、手梅核気、耳鳴り、めまい、手足の冷え、のぼせ、下痢・便秘・もたれ・胸やけ・膨満感などの胃腸障害等。

その改善方法の一つに呼吸法がある。

ドイツの精神科医シュルツが提唱した自律訓練法なども、イメージ(暗示)や呼吸法を利用して自律神経に働きかけ、心身をリラックスさせるものである。

それでは、自律神経と呼吸法にはどのような相関関係があるのであろうか。村木弘昌先生の「丹田呼吸健康法」から一部引用しておこう。

太陽神経叢のはたらきは腹圧と大いに関係がある。強い腹圧がかかるほど太陽神経叢の機能もさえてくる。太陽神経叢は自律神経を調整して内臓が正しくはたらくようにできているが、腹圧が弱いとその調整する力が鈍ってしまい、自律神経失調症になる傾向が高い。

 太陽神経叢を活発にはたらかせるためには正しい腹圧のかけ方を身につけておく必要がある。胸にも一緒に圧のかかるような腹圧ではだめで、必ず呼吸とともに生ずる腹圧が必要だ。

ここでは腹圧をかけることで、太陽神経叢が働き、自律神経が調整されるとしている。

腹圧がかかるためには横隔膜、腹横筋、骨盤底筋などの主要筋・膜が関係している。また、呼吸筋には横隔膜、内肋間筋、外肋間筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋などがある。 横隔膜は胸部と腹部の間に位置しており、安静時の呼吸では息を吸う時に収縮する。それ故、横隔膜は呼吸をするためにあるように思われるが、腹圧をかけることも大きな仕事である。

腹圧をかけることは自律神経の調整だけでなく、小腸に腹圧をかけ静脈血を上げ、肝臓に血液を送ることがもう一つの重要な働きであるといえる。血流というと動脈の働きだけが注目されるが、血液の量は静脈が4倍も多いのである。静脈の流れの改善が健康法の秘訣といえるのかもしれない。

【参考文献】

丹田呼吸健康法―調和息入門 (サンマーク文庫)

丹田呼吸健康法―調和息入門 (サンマーク文庫)

 

 【写真】

パルスオキシメータ、動脈血の酸素飽和度を計測する装置。腹式呼吸をすると99%になる確証はありません。筆者の意念でぞろ目がでた。。んなわけないか。(笑)