鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

灸をすえている絵図|万象妙法集と芳年

ちょっとした事柄であれば、辞書を引くよりもスマホipadで検索をする事の方が多くなった。先日、ウィキペディアで「灸」を調べたところ、「万(萬)象妙法集」の絵図が引用されていることに気がついた。

「万象妙法集」は鍼灸の専門書というより、まじないや祈祷などの民間療法を集めたような書物である。景斎英寿著、嘉永3年(1850年)序刊。

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四十を過ぎたら、三里に灸をすべしとある。

外台秘要には「人年三十已上、若不灸三里、令人気上冲目」と記載されている。

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右上には悪魔降伏の秘符とあり、6文字の梵字(ぼんじ)が書いてある。

「右のごとく書(かき)て門口にはり、又守(まもり)ぶくろにいれ首にかけいるときは万(よろず)の悪事(あくじ)をのぞき、流行(はやり)やまひをうけず、夜山中往来するに、狐狸なんどのさわりをはらひ、吉事をまねく也。」

ステロイドや抗菌薬、抗生物質などのない当時は、疫病やはやり病にかかると死と隣合わせであった。なすすべもなく、神に祈り、祈祷をしたり、疫鬼が家に入らないように護符を門口に貼ったりした。

安政5年(1858年)のコレラの流行では、長崎から江戸まで広がり、その死者の数は3万~4万、文献によっては10万ともいわれている。今から157年前のことである。

「万象妙法集」に記載されてる内容は、荒唐無稽なものも多いが、当時どのような病が流行っていたのかとか、養生法や予防などの考え方を知る上で興味深い。

流行病を除(のぞく)法には次のような説明がされている。「いろいろの病、時機によりはやる事あり。此とき、にんにくを一つえりの中へぬひこみすべし。はやる病をうける事なし」

にんにくパワーは効果があるような気もするが、ドラキュラ除けに首からにんにくをぶら下げているようなことと同じであろうか。西洋でも魔除けにニンニクというのは面白い。

話は変わるが、お灸の絵図で連想される代表的なものは、やはり芳年の「あつさう」ではないだろうか。

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江戸期に於いては、流行り病で命を落とすことが少なくない状況であったため、病にならないための養生ということが重要なことであったと想像される。お灸や鍼、あんまなどもその有効な方法であったに違いない。まさに、「未病を治す」ということである。

寒さもひとしお身にしみるこの時期こそ、お灸はお勧めである。