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鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

頭皮鍼と美顔鍼、動物性の脊柱要素と植物性の腸管要素との関係

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頭皮鍼は比較的新しい治療で、経絡学説と大脳生理学、解剖学の知識を基礎として発展した方法である。この頭皮鍼にもいくつかの流派や理論が存在している。世に知られるようになったのは主として脳血管障害に対する治療効果であったと記憶している。

上図のように頭部には何本もの経絡がめぐっており、いくつかの経穴(つぼ)が存在している。それぞれの経穴には鎮静や止痛、消炎、清脳、救急、目・耳・鼻など五官に対する効果などさまざまな働きがある。頭皮鍼が運動器系にだけ作用を及ぼすという限定的なものではないが、脳血管障害の後遺症に対する治療効果が特に注目されたということで、少々強引ではあるが運動器系としてすすめることとする。

美顔鍼は数年目にちょっとしたブームになったのでご存知の方も多いのではないだろうか。直接顔に鍼をするというのは、東洋医学的に考えると対処療法的であり、あまり本質とはいいがたい。

東洋医学には蔵象という考え方がある。「蔵」とは知覚としてとらえにくい内在した存在、からだの内側にある臓腑器官などをさし、「象」とは外に現れている兆候を意味している。「内に有れば必ず外に形(あらわ)れる」という理論に基づくのであるが、端的に言えば、内臓の働きや疲労が顔や体表に現れるということである。

例えば、便秘で肌が荒れたり、寝不足や疲労によるクマや目がはれたり、飲みすぎや食べ過ぎで顔がむくむなどと考えると分かりやすいであろう。変化が望めるのであれば、顔に鍼を刺すのもよいが、内側からからだを整えるという考え方が本筋なのである。インナービューティといったところだろうか。

東洋医学では望診という診断方法がある。姿勢や体格、皮膚の状態、顔色など視覚的に外観して体の状態を推測するのである。顔面部であれば、やや青ければ寒邪により冷えが入っているとか、赤ければ熱により上昇しているかもしれないと判断するのである。

また、部位による診断では眉間では肺(呼吸機能)や神気を、鼻は脾胃の働き(消化器系)を想定して考える。

さて、ここからが今回の趣旨である。

 先日、布施英利氏の『人体 5億年の記憶(解剖学者・三木成夫の世界)』の中に面白い記述を見つけたので下記に引用しておこう。

脊椎動物の頭蓋は…動物性の脊柱要素と植物性の腸管要素が頭端で結合してできた」

つまり、顔(頭部)は体の二大要素である植物性器官と動物性器官が合体した、一つの塊なのだという。いや一つの塊ではなく、そこには二つの象徴が、向き合って並び立っている。これを三木は、「動物性頭蓋」と「植物性頭蓋」という言い方もしている。

 頭部は頭蓋骨と顔面頭蓋から形成されており、頭蓋骨は動物性、顔面頭蓋は植物性であるという。

動物性は「感覚→伝達→運動」を司っている。視覚や聴覚、皮膚感覚などの刺激が感覚器を通して、神経から脳に伝達さる。そして、運動として体の動きを生み出す部分である骨格や筋肉が作用するということである。

植物性は「吸収→循環→排出」の流れを意味している。食物が口から摂取され、胃や腸の消化器系で栄養物が吸収され、血管や心臓で循環され、腎臓や大腸、泌尿器系からの排出といった働きをす。

この内容と頭皮鍼・美顔鍼(顔面部の状態や変化)を比較してみると共通するものが見えてくるように感じるのであるが、飛躍しすぎだろうか?

 

人体 5億年の記憶: 解剖学者・三木成夫の世界

人体 5億年の記憶: 解剖学者・三木成夫の世界