鍼灸鷄肋ブログ

鍼灸に関する内容や日々の出来事を紹介します。世田谷区祖師谷「鍼灸指圧自然堂」から発信しています。

医療は我々の味方なのか|近藤誠氏の「医者に殺されない47の心得」を読んで

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本屋の医療関係のコーナーにはアンチ医療系の書籍が並ぶことが多くなったように思う。それだけ医療に関して関心が高いということでもあろうが、現行の医療に対する不安・不信の表れと読むこともできよう。

昨今の出版不況という中で近藤誠氏の著書「医者に殺されない47の心得」は累計100万部を突破したというから驚きである。そして、それにあやかろうとする出版事情もアンチ医療系の書籍が増えた一因かもしれない。似通った内容のものも多いのであるが、出版社の思惑通り、ついつい帯や題名に釣られて買ってしまうのである。。

アマゾンの「医者に殺されない47の心得」に関するカスタマービューは400件近く書かれている。内容からして他書に見られるようなステマは少ないと思われるが、当然ながら賛否両論あり、実際に医療現場で仕事をされている方の意見はなるほどと思うことも少なくない。人間の体についてはまだまだ分からないことが多く、治療法の確立していない疾患や原因を特定できないものも多いと聞く。批判ばかりではなく、未来に向けた建設的な展開を期待したい。

本著の中には薬に言及されている個所が多々ある。「一度に3種類以上の薬を出す医者を信用するな」PP68-71の項では次のように述べられている。

「副作用」という呼び方は薬害が起きたときのための口実で、薬の作用はすべて「主作用」であり、病気を治すどころか、逆に病気を招いたり悪化させたりして最悪、死に至らせる危険なもの

また、アメリカで医師たちに支持されているテキスト「ドクターズルール425 医師の心得集」から引用して、下記のように書かれている。

  • できればすべての薬の使用をやめよ。それが困難なら、できるだけ多くをやめよ
  • 薬の数が増えれば、副作用はネズミ算式に増える
  • 4種類以上の薬を飲んでいる患者は、医学知識の及ばない危険な状態にいる
  • 高齢者のほとんどは、薬を中止すると体調がよくなる

 ジョークの様な本当の話である。このような指摘は江戸後期の医師、中神琴渓「生生堂雑記」にも見ることができる。

昔洛陽に一人の病者あり、積年病床に臥せり。更(かわ)るがわる医を招いて療ずと雖もその効なく、反って様々と変化して、已に十三年を経たり。偖(さて)長病の事なれば、薬を飲み厭て一月余り休薬せしに次第に快くなりて、積年の患い二月がほどにおのずから全癒せり。其人因って曰く。「病みて薬せざるは中医を得ると同じと班固が謂しは直に確言なり。」(一部文字の変更あり)

とかく、このような話題では「いい」「わるい」の二極化した議論に陥りやすいが、本来、薬は「毒」であるという認識は必要である。効果が得られないのに漫然と服用していたり、飲まなくてよいものであれば極力使用しない方がよいということである。要は使い方が重要であるということだ。

※薬によっては急に服用を中止すると反ってよくないものもあるので、素人判断をせず、不安な方は薬剤師にご相談を。

医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法

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