ディスポの鍼管でテンセグリティを作ってみた
テンセグリティ(tensegrity)とは、「Tension(張力)とIntegrity(統合)」の造語で、アーティストのKenneth Snelson(ケネス・スネルソン)の彫刻にはじまり、R. Buckminstar Fuller(R・バックミンスター・フラー)により提唱された概念である(どちらが最初の考案者であるかという議論がされることがある)。
上図は6本タイプのテンセグリティである。
材料は毎月大量のゴミとなるディスポの鍼管(二寸)と普通の輪ゴムである。費用はもちろんタダ。
張力(輪ゴム)と圧縮(鍼管)のバランスでできている構造体であり、圧縮材が宙に浮いているのが特徴である。手で上から押さえてつぶしても、張力により復元する。
このテンセグリティの考え方は、この数年、特にマニピュレーション(手技療法)の方面から注目されている。従来の構造的に理解してきた身体の概念に変わるものかもしれない。
例えば、輪ゴムの一端に張力を加えると連接されている圧縮材だけでなく、他の圧縮材の位置も微かに変化する。このことを身体で考えてみると、従来であれば肘を曲げるのは上腕二頭筋の働きということになるが、胸や背部にも影響が及んでいるかもしれないし、下肢にも関連があるかもしれないということである。
そのひとつのキーワードがfascia(ファシア)である。各筋肉の筋膜もファシアであるが、スパイダーマンのボディスーツの様に皮下にあって全体を包むようなものであり、ネットワーク的な働きもしているのではないかと考えられている。
鍼灸に於いては、このファシアと経絡・経筋の関係も今後の面白いテーマとなることであろう。