北京の空を見て、PM2.5について少し調べてみた
中国の空気汚染
10月中旬、北京へ旅行にでかけた。何度か中国に行ったことのある人にその話をすると、その多くはレートの悪さと大気汚染の話題となる。
上の写真は朝の天壇公園の風景である。うっすらと靄がかかっているのが、お分かりになるだろうか。公園内では、気功や太極拳、ダンス、バトミントンなどをしている人々、そして大勢の観光客が訪れていた。からだを動かすことは、奨励されるべきことであるが、このスモッグの中で行うことが果たしてよいことであるのかどうか。。
この情景を見て、以前訪れたバンコクでのことをふと想い出した。
20年ほど前、タイの伝統的マッサージを学ぶため、バンコクに数か月間滞在していた。毎朝、安宿から学校まで徒歩で通っていたのだが、オーストラリアから来ていたベジタリアンのクラスメートは必ずバスを利用していた。ウォーキングは身体にいいという話をすると、汚れた空気の中を歩くのはクレージーだといわれた。当時のバンコク市内は交通渋滞と排気ガスがひどく、確かに空気が悪かったのである。
PM2.5とは
そもそも、PM2.5とはどんな物質なのであろうか。
PM2.5とは物質の名称ではなく、大気中の微粒子で、その直径が2.5μm(マイクロメートル)以下のものを総称して呼んでいる。上図に小麦粉と花粉のアレルゲンである杉の花粉、そしてPM2.5の大きさを比較してみた。かなり小さいことがわかる。
そして、このPM2.5に含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物、有機化合物などの化学物質は、呼吸器系や循環器系へ悪影響を及ぼし、また、発がんのリスクが高まると報告されている。
その代表的な原因としては次のようなものが考えらえれている。
- 石油・石炭由来のもの
- 自動車・飛行機・船などの排気ガス
- 工場からの粉塵
- 野焼きやタバコの煙など
中国のエネルギー事情として、石炭依存度が高いことも大きな問題である。現在も炊事や暖房などの生活用として北方の地域では利用されている。これから、冬にかけてさらに消費量が増えることが予想される。下の図は練炭を運んでいる様子である。
大気汚染の分布
下図は大気浮遊粒子状物質(エアロゾル)による気候システムへの影響及び大気汚染の状況を地球規模でシミュレートしたものである(SPRINTARS)。このサイトは、時間ごとの予想動画が表示されるすぐれもの。
赤くなっているところが濃度の高いところである。中国だけでなく、インド、パキスタン、ネパールなども高濃度である。図でみると、より現実的なこととして、その深刻さがよくわかる。対岸の火事というわけにはいかないであろう。
誰が見ても、ヤバいでしょ。。
中国のアメリカ大使館のHP上で、毎日のAQI(大気質指数)が発表されている。
U.S. Department of State Air Quality Monitoring Program
AQI指数で「187」は不健康な指数(151-200)である。
心臓や肺の疾病および高齢者、すべての人にある程度の健康への悪影響を与える可能性があるとしている。また、警告として、子どもおよび大人、および喘息のような呼吸器疾患の人々は、長時間のアウトドア活動を回避するべきであるとある。左のスマホ対応アプリではマスクの着用が推奨されている。
中国政府と北京市は11月7~12日にAPECを開催するとして、市内の政府機関や学校などを6連休にすると発表したらしい。工場の稼働も停止される予定で、自動車の登録ナンバー制限も実施されるとのことである。
はたして、AQI(大気質指数)はどれだけ下がるのだろうか。。
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