特別展「キトラ古墳壁画」が東京国立博物館にて開催中
特別展「キトラ古墳壁画」が4月22日(火)~5月18日(日)まで、上野の東京国立博物館にて開催されている。
特別展 キトラ古墳壁画/東京国立博物館 本館 特別5室[上野公園]
キトラ古墳(奈良県明日香村)は7世紀末~8世紀初めに造築されたと考えられている。その石室の四方の壁には四神と十二支像、天井には天文図が描かれており、その中から「朱雀(すざく)」・「白虎(びゃっこ)」・「玄武(げんぶ)」、そして「十二支」の「子(ね)」・「丑(うし)」が展示されている。天文図が見たかったのだが、残念なことに修理中とのこと、今回は公開されなかった。
入場まで50分、連休中はもう少し列ぶかもしれない。想像していたより実物は小さく、色はハッキリしない。あとは、想像力で。。
天文図には北極星を中心として、赤い円で内規・外規・赤道が描かれている。太陽の運行する経路の黄道は中心がずれており、星(二十八宿)には金箔がちりばめられている。
中国では紀元前より天文の観察が行われており、「史記」の天文書には星の運行など詳細な記載がある。しかし、このキトラの天文図は位置関係が正確ではなく、デフォルメされているらしい。
上部には玄武、右方には白虎と月像、下部には朱雀、そして左方には青竜と日像が描かれている。ここにも五行論の影響が見て取れる。以前ブログで紹介した五行は木火土金水が円周上に配置されていたが、ここでの五行の配置は中央に土を配し、木火金水が四方に位置する形をとる。
木→春→青→東→青竜
火→夏→赤→南→朱雀
土→土用→黄→中央→
金→秋→白→西→白虎
水→冬→黒→北→玄武
上図で玄武が北であると、青竜(東)は右側に来ないといけない。しかし、左側に画かれている。何故でしょう~?
これは天文図であるので、画を上(天井)にして見ると解決する。しばらく悩んでしまった。。
星の運行は時間や季節、位置を知るだけでなく、運命を占うことにも利用された。また、医療分野でも天文の知識が活用されていたようである。身体は小宇宙であるので、鍼灸で使う経穴(つぼ)の名前にも天文に関するものがいくつかある。
【璇璣】北斗七星の第二星を璇、第三星は璣と呼ぶ。璇と璣は柄杓の部分であり、自転に随う。
【天枢】北斗七星の第一星を天枢と呼ぶ。この経穴を天の中枢に喩えている(左図)。
【太白】金星(ビーナス、アフロディーテ)のこと。
【箕門】箕は星の名前。南の空にあって、四つの星が箕の形に連なっている。
【大陵】星の名前。死喪陵墓のことを司り、積屍星の下に位置する。
【天衝】星の名で崴星の精であり、その流れを天衝という。
古代中国では北斗七星は重要な星宿であり、それにまつわる伝説も多い。天帝の乗り物とする説もある。
天枢は大腸の募穴で腹痛や便秘のつぼとして知られている。しかし、北斗七星の第一星である天枢には道士に伝わる何か秘められた使い方(吐納法や養生法)があるのかもしれない。